空港散歩2020 東京、大阪展を終えて

気づけば、写真展「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」 東京展、大阪展の会期を終えて1ヶ月が経った。始まってみればあっという間の6週間の会期だった。
今は鳥取での凱旋ができないかともがいているところで、「終わったー」という感触はまだない。

思えば「リコーイメージングスクエアでやりたい」と決めてから2年半、公募に出してから1年である。開催が決まったのは、今年の1月末、ちょうど鴨鍋展が終わってすぐの頃だった。その時点で、コロナ禍によってこの様な事態になるとは微塵も思わなかった。
そこから、開催できるのかどうかを日々心配しながら、しかし、オンスケジュールで準備は進めて行く。中止にでもなればそこまでの投下経費は全てパーという精神衛生上良いとは言えるものではなかった。

そんな状況において、リコーイメージングのギャラリー担当の方からは「会期変更することがあっても、中止にすることはない」と心強く言っていただき、なんとか準備を進めることができた。

結果的には、東京展は当初予定から1週間遅れただけで本来の2週間会期での開催、さらには新生リコーイメージングスクエア東京の柿落としとなった。大阪展では本来の2週間会期から4週間とロングランの会期となった。実にラッキーだったというほかない。
実のところ、公募時点で希望していた会期は2020年3月〜5月とコロナによる営業自粛期間ど真ん中だった。諸事情あり、予定会期が5月末〜に変わったことが奏功したわけである。まるで何かに導かれたとしか言えない様である(多分、穴守稲荷様のおかげだと思ってる)

さて、前置きが長くなったが今回の写真展を少し振り返ってみようと思う。

with コロナ時代の写真展

開催決定が決まって喜んだのも束の間、CP+ 2020開催中止が決まったあたりを境に開催予定の写真展が延期・中止となる様を目の当たりにした。まだ、その時点では「5月にはきっと収束してるよね」という淡い期待も持ちつつ、営業自粛となったリコーイメージングスクエアの再開がいつになるかを心待ちにするばかりだった。

DMは早々に印刷していたため、当初会期(東京: 5/28-6/8, 大阪: 7/16-27)で制作し、リコーイメージングへの納品も済ませていた。勢い余って2000部も印刷したのを今でも後悔している。
その後、会期が5/28-6/15へと1週間延長され、結果的にはリコーイメージングスクエア再開が6/4となったことからDMを再印刷することとなった。その東京展会期変更版のDMが納品されるタイミングで、大阪展の会期延長の打診があり「あー、あと1週間早く言っていただければw」という状況となって、大阪展のみ単独のDMを再度印刷することになった。
つまり、今回のDMは3種類存在することになる。

そして、会期が確定したところでこれまで通りに準備を進めていたところで「芳名帳はご遠慮いただくか、都度消毒対応してほしい」との要請があった。その詳細は「 with コロナ時代の写真展」に詳しく記している。そこから「じゃあ、 オンライン芳名帳作るか」となり、作ることに。必要は発明の母であり、今回の写真展での大きな収穫の一つだったと言える。
あとでデータ化する必要がないことや、写真展の感想などのコメントを高い確率で残していただけること、そして一番大きいのは、帰ったあとからでも記帳できることである。実際に、その日の夜だったり、翌日に記帳いただいたこともあった。

また、コロナ禍の元、マスク着用での観賞は思わぬ副産物をもたらした。そう、「作品に唾液が飛ばない」のである。どうしても作品を前にお話をすることはある。その際にどうしても飛沫が飛ぶが、マスクをしているとそれがない。これは、パネル展示で写真面が曝け出されるケースではとてもありがたいことだ。

さて、会期が始まると東京では「東京アラート」が発令、大阪では少しは収まるかと思えばちょうどピークに向かう最中と客足がとてつもなく遠のく状況だった。特に大阪では完全に暇な時間が幾度となくあり、心が折れそうになることしばしばであった。
当然、来場予定だった人も多く来場を見合わせる事態となり、自分の相方も東京・大阪ともに諦めるという状況だった。きてほしい人たちにきていただけないことは一番悔やまれるものである。
そんな中でも、足を運んでいただいた方々には感謝しかない。

レジェンドと神と

東京展では是非とも来てほしい方、自分がそのスタイルに惚れ込み、師と仰ぐルークさん、そして、ルークさんが師と仰ぐ青木勝さん。
お二方共に、私が在廊しているときにご来場いただき、一緒にじっくりと自分の作品を見てお話をするという貴重な時間を過ごすことができた。

今回のキー写真では、異口同音に「この色は(PENTAX以外では)出ない」と言っていただけたのは本当に感慨深いものであった。

舞い上がりすぎて、青木さんとの写真を撮り忘れるくらいだった(苦笑

この貴重な時間は、今後の自分の支えになって行くものと確信している。

やっちまったなワシ

今回、A1 9点、A2 35点の合計44点を展示した。

公募に出すときは「30枚」を目処にと考えていたが、どうしても絞り切ることができず、提出用のアルバムに収まる40枚で応募することにした。
その後、撮り下ろした写真と入れ替え、壁面の構成を考えて行く中で結果的に44枚に落ち着いた。

さて、何が「やっちまったな」なのかというと、費用である。

展示内容も決めて、さあ、プリントはクリエイトさん、パネルはフレームマンさんだねと制作を依頼してから見積もりを出してもらって「あー、やってまった。想像の倍かかってる\(^o^)/」となったのである。パネルは当初FMプレートにしようと思っていたが、0.8mmと薄いので間違いなく取り扱いを間違えて曲げちゃうだろうとのアドバイスから、アルポリックへ変更。これで、パネル制作費はざっと倍に。

しかし、一世一代の写真展、ここで妥協してはいけないと決断した。その後、請求書を見て目が飛び出たのはいうまでもない。 (D FA*85mmは断念してますw)

物販したこと

当初は物販はお金の扱いとかややこしそうだしやらないでおくかな。と思っていたが、リコーイメージングスクエアでは物販については、スクエアでお金を管理してくれる(作家から仕入れてスクエアで売るイメージ)とのことで、ならば、記念に何かやるかと。

ステッカーは去年思いつきでデザインして、 LUXURY FLIGHTで委託販売しているものがあるのでそれを。

ならば、図録を作ってみようと思い立ち、むかーし訳もわからずPageMakerを少しいじって以来のほぼ初めてのDTPに取り組んだ。流石にAdobe税払えないので、Affinity Publisherを使って制作した。図録の構成は、ほぼほぼ展示と同じ構成であるので編集自体はあまり苦労しなかった。

あとは、せっかくだしなと2Lプリント+フレームを準備してオリジナルプリントとして販売。そして、在庫リスクがないトートバックとそれなりの品揃えとなった。

結果的には、図録の印刷代がどうにかペイしたかな?くらいではあったが、多くの方にお買い上げいただいた。重ね重ね、ありがたいことと思う。

図録もプリントもステッカーも在庫は山盛りあるので、なんとかしないといけない(笑

東京と大阪

東京と大阪、今回は大阪の方が会期が2倍だったが来場、物販共に東京の半分だった。東京(新宿)ではメーカーギャラリーも近くにあり、また近郊にもギャラリーがあるのでギャラリー巡り方々のご来場といったスタイルもあるようだが、大阪ではそうでもないためか「ついでに」という感じはなかった様に思う。

また、東京では写真家、メーカー関係者はじめ写真業界関係の方が多く来場された。大阪ではあまりそういう傾向もなく、名刺があまり減ることもなかった。

コロナの感染拡大状況での人の動きの違いもあり、平常時もこうであるという確証はないが東京と大阪での人の動きの違いというのは押さえておいた方が良いなと感じた。

ただ、大阪ではスクエア常連の方がそのまま写真展も見てくれる流れがあり、リピートで見ていただける率も高かった。ここは特筆すべき点かなと思う。

今後に向けて

経済的には、自腹でこの規模の写真展をやることは宝くじに当たるか、スポンサーつかないと無理です。

でも、こうしてこれまでの活動の振り返りとまとめができたこと、多くの方々に見ていただき、コメントいただいたことは大きな財産になったと思う。 ひとまず、本写真展については鳥取で凱旋展示が叶えば晴れて完結となる予定である。

鳥取空港だけ、ANAだけでこれだけの展示ができたけど、まだまだ、撮れてない情景、撮りたい情景はたくさんある(ルークさん風に言えば「宿題が残っている」)。宿題を片付けて行くうちに、節目で10枚〜15枚程度でのミニ展示をどこかでできればいいなとは思っている。

また、これをきっかけに写真作家としての活動の幅が少しでも広がればいいなと思っている。

最後に、本写真展に関わっていただいた方、ご来場いただいた方をはじめ関係者のみなさんに心より感謝する。

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T.Fujiba(Toshihiro Fujibayashi)
Aviation Photographer(航空写真作家)

航空写真作家、阪神が試合してる時はうるさいです。

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