液体に宿る色 ―― カクテルで辿る情景

写真展「空港散歩 V 朱と蒼」の開催にあたり、長年お世話になっている写真機店の社長へご報告を兼ねていつものバーで待ち合わせ。
現在のキー写真をお見せしながら展示のコンセプトをお話ししていると、ふと思った。「この情景、カクテルにできんかな」。
バーテンダーさんに写真を見せて「このグラデーションを再現してください」。我ながら無茶な注文であるが、実はこれが初めてではない。

ちょうど6年前、空港散歩2020の準備をしていた頃、最初の難題を投げかけた。「fujibaオレンジを再現してほしい」と。

初代カクテル「fujibaオレンジ」
初代カクテル「fujibaオレンジ」
ロックグラスに注がれたそれは、赤からオレンジへ燃えるような色をしていた。 そして2020年の会期中、もう一度。
2代目のカクテル「fujibaオレンジ」
2代目のカクテル「fujibaオレンジ」
今思えば、このカクテルの色が、昨年自分がカラーコードで定義した「fujibaオレンジ」にかなり近かった。バーテンダーさんの感性は、すでに正解を導き出していたのだ。

そして今回、3度目の無茶振りである。 テーマは「朱と蒼」。夕景から星景へ、色の時間的な旅路を一杯のグラスに収めてほしい、と。今回ばかりはさすがに困惑させた。それでも応えてくれた。

カクテル「朱と蒼」
カクテル「朱と蒼」
出てきたのは、細いクリスタルのステムグラスに、グラスの底に沈む鮮やかな朱から、上層の深い蒼へと移ろう、静謐なグラデーション。 色の再現を優先しているのでシロップ多め(比重の違いを利用して層を作る、バーテンダーの技だ)。色を楽しんだ後はジンジャーエールで割りながら飲む、というのがバーテンダーさんの提案だった。かき混ぜると、まるで夜の帳が下りるように、朱と蒼が溶け合っていく。(その様子は動画でどうぞ)

病み上がりの僕はお酒をあまり飲めなくなってしまったので、次回はノンアルコールバージョンを無茶振りしてみようと思う(懲りてない)。
毎回の無茶振りに応えてくれるバーテンダーさん、ほんまに神である。

写真展「空港散歩 V 朱と蒼」の詳細はこちらから。

Aviation Photographer(航空写真作家) / Programmer

航空写真作家でありプログラマ。鳥取と羽田を拠点に情景的ヒコーキ写真を追求。PENTAXユーザー。阪神が試合してる時はうるさいです。

前へ

関連項目